Performance Advisorのご紹介: ボタン1つで、より高強度なパーツを
強度と耐久性を備えた3Dプリントパーツは、Markforgedの重要な差別化要因であり、多くの企業の皆様がMarkforgedのアディティブ製造(AM)ソリューションを選ぶ主な理由の1つとなっています。Markforgedプリンターで高強度パーツを製造するにあたり、最初のステップとなるのがEigerでのプリント設定の構成です。このプリント設定のいくつかは、他の設定よりもパーツの強度(性能)に影響を与える可能性があります。例えば、連続ファイバー強化を追加すると、パーツの強度が大幅に向上することは明らかですが、壁の層を追加したり、充填密度を調整したりすると、どのような影響が出るのかははっきりしません。さらに、高強度パーツは望ましい成果物ではありますが、マテリアルコストやプリント時間を過剰に増やしてまで作成すべきではありません。結局のところ、理想的なプリント設定とは、効率的に製造される高強度パーツ、つまり、コストとプリント時間の増加を最小限に抑え、強度の向上とのバランスが図られたパーツを作成する設定です。
お客様は、Simulationツールを使用することで、プリント設定の変更がパーツの性能にどのような影響を与えるかを検討し、コストとプリント時間を最適化できます。ただし、Simulationツールの場合、パーツにどのような形で負荷がかかるのか、使用中に他のオブジェクトとの間にどのような相互作用をもたらすのか、といった解析の要件を明確にする必要があります。
解析の要件を特定せずに、パーツの性能を最適化できるとしたらどうでしょうか。また、非常に簡単に最適化を行うことができるため、すべてが完全に自動化されているとしたらどうでしょうか。
より高強度なパーツを、自動的に
この課題に対処するため、Markforgedは、コストとプリント時間の増加を最小限に抑えつつ、パーツの強度を既知の量で向上させるプリント設定を推奨してくれる、新しいパーツ性能解析手法を開発しました。
最も優れている点は、完全に自動化されていることです。ユーザー入力なしで、結果を得られます。Eigerでパーツを保存すると、Performance Advisorが自動的にパーツを解析し、デフォルト設定と比較して、マテリアルコストとプリント時間を抑えつつ強度を向上するプリント設定を推奨してくれます。ユーザーは、性能の向上がコストとプリント時間の増加に見合うかどうかを判断できます。ワンクリックで推奨設定を適用するか、推奨設定を無視してEigerのワークフローで続行できます。
仕組み
Performance Advisorを支えるテクノロジーについて説明します。Markforgedのエンジニアは、解析の要件なしで構造解析を行うという課題に対処するために、物理ベースの解析手法(特許出願中)を開発しました。解析の要件を定義するのではなく、パーツが自然に振動する形状(固有モード)を使用して、プリント設定がパーツの性能に与える影響を検討します。
以下のL字型ブラケットの画像は、最低エネルギー状態の固有モードの特徴的な形状を示しています。これは、このパーツが自然に振動する形状のひとつです。このパーツをプリントして、手で曲げることを想像してみてください。曲げに対する抵抗が最も少ない形状(またはモード)なので、このような形状になる可能性が高いです。この形状は、変形や応力の影響を最も受けやすいパーツの領域に関する情報をPerformance Advisorに提供し、そういった領域の強度を向上するプリント設定を検索できるようにします。
最初のステップは、最低エネルギー状態の固有モードの計算です。2番目のステップは、次の3つの変数を使用してプリント設定をスコア付けする機械学習主導の最適化手順の実行です。
強度
マテリアルコスト
プリント時間
強度のスコアが高く、コストとプリント時間のスコアが低いプリント設定が最適とみなされます。Performance Advisorの目的は、このような構成を推奨することです。
制限事項
Performance Advisorの機能は、順次拡充されます。初期リリースには、次の重要な制限事項があります。
サポートされるマテリアルは、Onyxのみです。
調整の対象となるプリント設定は、壁、屋根、床の層数のみです。
充填パターンは三角形で、デフォルトの充填密度は一定に保たれます。
Performance Advisorは、極めて複雑なSTLメッシュを持つパーツを解析できない場合があります。
Simulationによる次世代の強度解析
Performance Advisorは、特に解析の要件が明らかではない場合に、より高強度のパーツを迅速かつ簡単に得るための手法です。解析の要件が明確な用途の場合は、Simulationが最適なツールです。
ユーザーは、Simulationを使用して解析の要件(現実世界でパーツにどのような形で負荷がかかるかを表す)を構成し、Performance Advisorが提供する強度比に対してパーツの推定強度を提供する安全係数を計算します。さらに、パーツに特定の強度要件がある場合(パーツに最小安全係数が要求される場合など)、Simulationは、マテリアルコストとプリント時間を最小限に抑えつつ、目標の安全係数を満たすようにプリント設定を最適化できます。
これらの追加のユーザー入力と、FFF製造プロセスに合わせてカスタマイズされたMarkforgedの有限要素ソルバーを組み合わせることで、Performance Advisorと比較して、より現実的で正確な強度を推定します。
SimulationとPerformance Advisorの主な違いは、次のとおりです。
- 解析の要件
Simulationの場合、解析の要件が必要です。つまり、得られる結果はパーツの実際の用途に基づきます。
Performance Advisorは解析の要件に依存しません。つまり、計算される強度比は、使用中にパーツにどのような形で負荷がかかるかを特定するものではありません。
- 強度
Simulationは、安全係数を計算し、パーツが破損し始める荷重を示します。
Performance Advisorは、デフォルト設定を使用するパーツと比べて強度が向上した推奨パーツを実現しますが、そのパーツが耐え得る荷重については何も示しません。
- テクノロジー
Simulationは、溶融フィラメント製造方式(FFF)に合わせてカスタマイズされた有限要素解析(FEA)エンジンを使用します。
Performance Advisorは、パーツの最低エネルギー状態の固有モードに基づく、特許出願中の解析手法を使用します。
- 提供形態
Simulationは、Digital Forge CompleteのAdvancedプランでご利用いただけます。Simulationについてさらに詳しい情報が必要な方は、お問い合わせください。折り返しご連絡いたします。
Performance Advisorは、Eiger組織にプリンターを登録しているすべてのユーザーに無料で提供されます。
概要
Performance Advisorは、ユーザー入力なしで自動的により高強度のパーツを迅速かつ簡単に実現するための手法を提供します。解析の要件を定義する必要がないため、Markforgedのすべてのお客様がシミュレーションツールのメリットを活用できます。つまり、ボタン1つで、マテリアルとプリント時間の効率とのバランスを保ちつつ、より高強度で、より堅牢なパーツを作成できます。
今すぐEigerにログインして、お試しください。
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